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■オンライン取引の環境−ネットワークの重大性(4)−
問題の切り分け−(1)ネットワーク部分
■はじめに
オンライン取引上、最も重要な「ネットワークがきちんと繋がっている」状態を確保する為に、ネットワーク全体を大きく3つの部分に切り分けてリスクポイントを絞り込む事にしました。ここまでPCの接続と言う観点でネットワークのお話を進めてまいりましたのでこの部分を先にクリアしましょう。ここで言うネットワーク部分とはつまり、皆様のPCから発信されたデータが家屋を出たときからホストサーバーに到着する入り口までの部分です。
インターネットのお話は以前にも、手軽で究極的なネットワークとしてご紹介した通り、一般的な個人がプライベートで利用できる広域ネットワークとしては現在のところインターネットしかなく、一般投資家が行うオンライン取引では接続手段にインターネットを使用します。インターネットの社会的価値が高まるに連れて頻度こそ大幅に減少傾向にありますが、接続に問題がある場合ネットワーク部分が原因である場合が多く、ネットビジネスの課題でもありますが、皆様には少しでもリスクの所在をご理解いただき不安を取り除いていただきたいと考えます。
■雲のようなインターネット
とは言っても、インターネットは公衆回線網と呼ばれるように全世界の電話回線網の隙間を利用したサービスであり、全世界の電話会社とISP(インタネットサービス供給会社)のインフラ集合体とも考えることができます。一つの接続を成立させる為に何カ国に渡って幾つのネットサーバーを経由するかは誰にも管理することはできませんから、通信の確保の全てを誰かが責任を負って管理することが事実上不可能です。
例えばアメリカの中央銀行が発表した金融レポートを閲覧しようとする場合に、日本の自宅から目的地に到達するには、太平洋の海底ケーブルを経由するか、日本海を渡り大陸を経由する必要があり、その間の回線は複数の国と複数の会社によって維持されていることを想像するのは難しくないと思います。大陸経由を想定すればそれこそ大変な事になりそうですが、このように1つのインターネット接続を確立するというサービスを責任範囲で区切るとすれば、これら全ての会社や国の境界線が責任上の接点であり、加えて無数のネットサーバーとの接続も含めた場合の全接点を管理するなどという話は、世界統一国家でもできない限り無理でしょう。インターネットをネットワークとして図解する時には雲を描くように‘ぐじゃぐじゃぐじゃ’と書くだけでおしまいです。つまり雲のように良く解らないけど確かにつながっている回線とでも表現しているかのようです。
重要な事実として、オンライン取引だけにかかわらずインターネットを利用するということは、責任所在がはっきりしないインフラを使用するリスクを許容する必要があります。その代わり絶対に買う事すら不可能な付加価値の高いサービスや情報を、場合によっては殆ど無料で得られるというメリットを享受できるという、リスク分散の理論から成り立っている事を頭の角に記憶しておく必要があると思います。
■リスク分散のヘッジ?
一般のインターネット利用者が例えば為替のオンライン取引を利用しようとした時に、先程のリスク分散によって押し付けられたリスクを全て被ってしまうのは、やや大きすぎると思います。つまり、突然インターネットが繋がらなくなり、いざという時に何の取引すらできなくなるというリスクを許容しなければなりません。しかし、例えば電話による緊急取引が可能な環境があれば、リスクの一部を低減することは可能かもしれません。ご自身でコントロールできない通信リスクは或る意味で受けるしかなく、これを否定する事はオンライン取引の素晴らしさを否定することであり根本の選択を見直すしかありません。ただ、インターネットの重要性が認識されている現在ではインフラへの対策も進化しており、リスクはどんどん低減されてゆくはずです。従って、それでもなお通信リスクに遭遇した時は、取引事業者が提供している様々な手段を活用してリスク回避ができるかどうかも、確認ポイントかもしれません。緊急電話番号をモニター廻りに貼っておくくらいの自衛策は必要でしょう。
■余談
皆様の中には、なぜネットワークとして物理的な電話回線が必要なのか疑問に思われる方もいるでしょう。たまには失敗しますが、スペースシャトルが定期的に発着陸するこの時代に、糸電話でもあるまいし、なぜ無線をネットワークに使用しないのか?と考えるのは自然かもしれません。
実は衛星回線について納得させられるお話があります。
PCに詳しい以前の部下の受け売りにもなりますが、まず電話回線は地球の表面を伝わっていますから水平に1本の線を考えてください。一方、衛星回線は通信衛星を介していますから先程考えた1本の線の上に小さなマルを考えて衛星とします。水平な1本線の一端から出発したデータが反対の一端に到達する早さは同じスピードで進む限り、衛星を経由するより地上を進んだ方が早くなります。三角形の1辺より他の2辺の距離が短くなることは無いのと同じです。ましてや電波と光では光が早い事は周知のとおりですから衛星回線が地上回線より早くなる事はありえないのです。つまりミリ秒単位の速さが要求されるPC通信網には単純に衛星回線は向かない訳です。
衛星回線についてもう一つの実話があります。昔、私がボイスブローキング業務に就いていた頃、海外のグループ会社と取引価格を繋いでいた電話の国際回線部分は衛星回線であったと記憶しています。衛星回線が遅いといっても人間的には許せる範囲ですから当時の電話用国際通信には衛星回線がかなり使われていたのではないでしょうか。しかし不思議な事に衛星通信は太陽の黒点現象に敏感で、その影響を受けると結構頻繁に不通になっていました。勿論シビアな市場状態の時には地上回線に切り替えて取引仲介を継続していましたが、市場の同意が全くない暇な時に黒点現象が発生すると短縮営業の良い口実になっていました。勿論お客様全員の同意をもらっての事でして、そこまで甘い世界ではなかったことは言うまでもありません。
(2003年10月30日)
出典:FOREXPRESS「オンラインの潮流」(C)2003-2008 2008年7月6日筆者改訂版次のコラムへ
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